碧南市 税理士を重視するポイント
学校の同窓会でメーカーなどに就職した友人と給料を比べても、圧倒的に高かった。
その頃、銀行員は三十歳になったら家が買えると言われていました。
そんなことが言われた業種は銀行くらいでしょう。
昇格するのと時を同じくして本店勤務になるわけですね。
翌年に業務本部の総括部に引き上げられました。
ここは、支店に目標を与えたり、業績表彰などを管轄したりする部署で、昔は関東軍と言われていた。
ただ、最初に配属されたのは、「DKBニュース」という業務用の社内報を作る部署でした。
配属された理由は、私は漫画を描くのが得意で、支店でいろんなイベントがあったりすると支店長の似顔絵を描いたポスターを作っていたりしたから、社内報向きだと思われたようです。
ただ実際は、前任者がある地方金融機関の経営者一族の子息で、いわば一勧で預かっていて、戻る前に本部の各部署に顔見せ、顔つなぎになるということで、社内報の仕事に就いた。
その人がいよいよ辞めるから、急遽穴埋めで誰がいいかとなって、私に回ってきたんです。
半年ほど、にわかニュース記者をやりましたが、取材がてら本部の各部署に顔見せができたことは幸運でした。
本部に上がってすぐ、全体の雰囲気をそれなりに知ったわけですね。
それと、そのとき上司に言われたのが「本部は風評だからな」という忠告でした。
つまり本部の中で仕事をしていくには風評を良くしないといけないと。
「そんなものかなあ」とあまり気にはしなかったけど、記憶に残る一言でした。
八五年と言えば、プラザ合意から円高へと振れ、まさにバブルが本格化するとば口にあたる時期ですね。
*プラザ合意-一九八五年の五ヶ国蔵相会議で表明された合意。
過度のドル高を是正するための協調介入をするという内容。
円相場はそれ以来上昇し、八七年二月には百四十円台に達した。
金利自由化が本格的にスタートするのもこの時期です。
自由化すれば金利の高低で預金が動くわけだから、その預金シミュレーションを何通りも作りました。
まだパソコンが未発達だったので、手作業が多かったですね。
羽倉頭取の時代で、羽倉さんは「もう自由化は帰らざる河だから」という台詞を盛んに言っていた。
つまり自由化は必至で、後戻りはできないということでしょうが、一方で自由化で何がおきるのかは、本当のところよく分からなかった。
個人的には、毎日がほぼ徹夜に近い状態でした。
午前三時、四時まで残業し、いったん帰宅して一、二時間仮眠してまた出社するという繰り返しで肉体的にも相当辛かったですね。
こうしたシミュレーションは第五次中期経営計画に盛り込まれ、期間は三年ぐらいを見込んでいましたが、実際は一年も持たなかった。
経済環境の変化、動きがそれぐらい早かったんです。
全銀協の仕事自殺した宮崎邦次さんが頭取に就任するのが、バブル真っ只中の八八年六月ですね。
そうです。
翌年に、全国銀行協会の会長行が第一勧銀に回ってきて、宮崎さんが会長に就いた。
いまは全銀協会長をどこも引き受けたくなくて揉めてるようですが、当時は逆で、会長をやりたくて揉めた時代でした。
会長行は長く東京の四行-一観、富士、三菱(当時)、三井(当時)Iで順番に回していたのが、九四年からは関西の住友、三和が加わって六行で回すようになった。
つまり、六年に一回しか会長行が回ってこないから、会長になれない銀行の頭取も出てくる。
だから、最初は東京の銀行は住友、三和が増えることに反対していたこともあった。
それぐらい全銀協会長ポストは人気がありました。
会長になったからといって、特に仕事があるわけじゃない。
ただ、会長をやると勲一等が取れるんです。
そう、やはり勲章の問題があった。
勲一等が取れなくなるかもしれないからという理由で、二行増えることに東京の銀行が反対したこともあるのでしょうね。
須田一観が会長行になって、江上さんの仕事も変わりましたか。
ええ、私もこの時期に個人向けの商品開発などを扱う業務開発部という部署に異動になりました。
対外的にも、全銀協にはいろんな部会があるんですが、そのうちの個人取引、営業店に関わることを扱う業務部会の担当になったんです。
いわば最も消費者と密接な銀行の基本業務に関わることを担当した。
業務部会は、全ての銀行が参加している正式な機関です。
ところが、実際には表向きのシャンシャン総会をやるだけの組織で、物事を決めているのはこの部会ではないんです。
オモテに対してウラの組織があるんですね。
業務部会の後ろというか、ウラに一部の都銀の集まりがあった。
今はもうないと思いますが「楽友会」といって、一勧、住友、富士、三菱、三和、三井のいわゆる上位六行と呼ばれていた都銀の担当者だけで作っていた組織です。
年齢は三十代半ばぐらいで、いちばん脂がのっている年代ですね。
この楽友会のメンバーと大蔵省銀行局の官僚とが常日頃話し合いをし、銀行業務のほとんどのことを決めていました。
全銀協自身が当時は法人格のない任意団体に過ぎないのに、そのなかにさらに秘密の組織があって実際の舵取りをしていたわけですね。
「撮る」という談合を意味する用語があるけど、まさに強力な「振りのウラ選対」のような組織です。
六行の担当者で集まっては口角泡を飛ばして議論し、時には罵言雑言を投げ合い、最後は談合で結論を出し、懸案が片づけば、それこそまだ芸者さんを揚げる時代だったのでドンチャン騒ぎをする。
メンバーだけでゴルフや旅行によく行ったりして親密になる。
一方で、お互いに相手のいちもつを握りあっているような感じで、抜け駆けや裏切りは絶対に許されない。
談合から飛び出さないように、相互に監視しているわけです。
もし談合破りでもしようものなら、指詰めにあうぐらいの恐い強力な握りあいの団体だった。
そこで例えばどういうことを決めたことがありますか。
いちばんおもしろかった、というと不謹慎ですが強く印象に残っているのは、金利自由化と軌を一にして金利の店頭奉不をやると決まったときです。
当時、住友と富士が預金集めの俄烈な競争をしていて、この二行は自由な金利で行くと、絶対に談合しないという姿勢だった。
これに対して、信金などの中小金融機関や農協などが「都銀に高い金利をつけられて店頭表示されたら自分たちはやっていけない」と、全銀協の業務部会に「何とかしてください」と言ってきたわけです。
これを受けてともかく楽友会のメンバーで集まったわけですが、場所も銀行を使うと公正取引委員会ににらまれたときに厄介だからホテルを便いました。
当の住友、富士は当然、振りなど必要ないという立場です。
宮崎頭取からも「握るな」と言われていたけど、他は住友、富士の金利競争を抑えるべきだという立場に立ったりした。
一勧が会長行ですから、私が仕切り役としてまとめないといけない。
私は当時、〝バマコー″と冗談で言われていたそのままに、テーブルをバーンと蹴飛ばして「てめえら、何考えてんだ!ここに何しに集まってるか考えろ。握りに来てるんだろう」と物騒な台詞を吐いたりしました。
本当にバカですね。
結局、毎週の店頭表示する金利を各銀行から大蔵省の金融市場室に事前にファックスで流すということで、決着した。
つまり、大蔵省が各銀行の金利を事前に掌握するシステムを作ったわけです。
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